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リバランスすると、リターンが下がる

分散投資(投資信託)における、リバランスとリターンの考察。

確定拠出年金、投資信託、変額保険や、年金基金の資産運用において、定期的にリバランスすることを勧める風潮があるようだが、そのリバランスに対して警鐘を鳴らすレポートである。
結論から言うと、リバランスはリターンを下げる効果が認められるので、やらないほうがいい。

 リバランスとは、最初に決めたポートフォリオ(資産の割合)が毎日の市場の変動によって変化し、当初決めた運用方針や、期待リターン、許容リスクが乖離していくため、もとのポートフォリオに戻すことである。
 ネットや文献で調べたところ、4半期に1度とか、資産割合が5%変動したらとか、主張があるようだが、その根拠を明確に述べたものがとても少ないのは、真面目に検証していないからと思われる。

 さて、実際にリバランスをしなかったらポートフォリオがどのように変動するのか、例題を使ってみてみよう。
 国内債券42%、外国債券17%、国内株式31%、外国株式10%、リターン3.06%、リスク8.41% 有効フロンティア上に乗っているポートフォリオ。
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このポートフォリオで1985年1月から資産運用したとしたら、試算割合がどのように変動するか、みてみましょう。例として、最初100万円で開始、毎月1万円ずつ購入した場合です。
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リスクとリターンの変動を見てみます。
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赤い線が、リスクとリターンの変動範囲を示しています。
20年以上リバランスしてくても、あまり大きく変動していないことがわかります。

リバランスをした場合としなかった場合とで、資産価値の変動を比較します。
ちなみに、リバランスのタイミングは、いずれかの資産の変動が5%以上になったときに行います。
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黒太線がリバランスをしていない曲線。ピンク太線がリバランスをした場合の曲線です。
たいしてかわらないようですね。比較する時期によって、プラスになったり、マイナスになったりしています。比較を開始する時期によっても結果は異なってきます。

比較する期間をかえて、いくつかシミュレーションしてみました。期間は5年、10年、20年です。それぞれ、1年ずつずらして計算しました。リバランスした時と、していない時を比較して、リバランスをしたほうがマイナスになる場合、赤で表示しています。
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リバランスをした方からみて勝率を出してみました。
5年間の比較は8勝12敗勝率40%。10年間は4勝11敗勝率27%、20年間は2勝3敗勝率40%、全体で見ると、14勝26敗勝率35%となりました。

「リバランスをすると、リバランスしないときよりもリターンが低くなる確率が高い」

と、いうことが考察できます。

ポートフォリオ、最初の資金、積立資金、リバランスの方法(1年に1回とか)、いろいろ条件を変えてみてシミュレーションしてみましたが、結果はほぼ同じです。

いろいろな機会に、リバランスを勧められることがあるかもしれませんが、もう一度よーく考え直すことをおすすめします。

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