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零戦燃ゆ 熱闘編

柳田 邦男 文藝春秋

大東亜戦争中の本を読む目的は、なぜ日本が戦争を始めたのか、なぜ戦争に負けたのかを、知ることにある。日本の優れているところ、劣っているところ、米国の優れているころ、劣っているところみつけ、これからの日本の方向性を明確にしていきたい。

 「零戦燃ゆ」はその希望にみごとにこたえる本であった。戦闘についてだけではなく、戦闘機の開発思想の違い、開発スピード、長期的な計画性、レーダーやVT信管に見られる技術力の差。パイロットや兵士の安全性の確保対する考え方、なども詳しかった。

この本の中で、意外な発見をした。捕虜となったの日本兵がアメリカの尋問に対し、積極的に情報を提供している事が書かれている。

 「私は家庭もあり教育も受けていますが、日本における特権階級には属していません。日本の支配者達は、天皇陛下の意思に反して、国民を抑圧しているのです。しかし、国民は、本当のことを知らされていないのです。私は、アメリカが日本の国民を再教育するために、抜本的なことをやって欲しいと考えています。もしアメリカがそういう計画に取り組むのなら、そのときは私も戦後の日本に喜んで帰りたいと思います。」

「私は、天皇陛下を絶対的に信じています。しかし、軍部と財界の指導者達は、殺されるべきだと思います。これら2つの階層は、日本の最悪の人々ですし、外国に対し栄えある日本の名を汚し、国内では生活水準を低くして自由を奪ったことに対し、責任のある人々なのです。私は、日本がアメリカのような自由な国になるのを見たいです。」
 
 戦争後期、一般大衆だけではなく軍人でさえも、日本の体制がアメリカに対し劣っている、日本の指導者が国民を欺いている、と感じていいる人達が少なからずいたということだ。「自由」に対する考え方は、上原良司の「書簡」に通じるものがある。 
 
 保守系の人たちの中には、「東京裁判は、GHQが日本に戦争を始めた罪を一方的に問う、法的根拠のないリンチみたいなものだ。東京裁判とワー・ギルド・インフォメーション・プラグラムによって、日本人がすべて自分達が悪かったと思い込むよう洗脳していった」という考え方がある。確かにその通りだろう。しかし、その洗脳を受け入れやすい下地というものが存在したのではなかったか。

 さらに言えば、GHQはその下地のあることを知っており、それを利用することによって占領政策を有効にすすめたのではないか。アメリカと対等に付き合うためには、アメリカの戦略的物の考え方を学ぶ必要がある。

 日本人からみる日本の指導者の悪いところ、日本の支配者の悪いところ。悪いと思いつつ、軌道修正できないところ。戦争の敗因となった日本の悪いところは、そのまま現在まできっと続いている。戦争に負けない国家、独立を維持できる国家を作っていくため、自分のできることは何かを考えていきたい。
 ただ、戦争に負けないためには、一番強い国家にただひたすら付いて行く、というのは勘弁してほしい。

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